自分で考える力を育てる音楽教育

多くのピアノ教室では、伝統的な「教え込む」指導が一般的です。

先生が決めた演奏方法や解釈を生徒に伝え、それを再現させる形での指導が行われることが多いです。

「これはこう弾くべき」「この指の使い方が正しい」といった固定されたアプローチに従うことで、生徒は一定の技術を身につけることができます。

しかし、その反面、個々の生徒が自分で考える機会が少なく、音楽に対する主体性や創造力が育ちにくいという側面もあります。

井上音楽教室では、この伝統的な指導方法とは異なるアプローチを採用しています。

それは「生徒自身が考える力を育てる指導」です。これは非認知能力の育成にもつながります。

生徒が単に指示に従うのではなく、自分自身の演奏について深く考え、どうすればより良い演奏ができるのかを自分で発見していくプロセスを大切にしています。

このプロセスが生徒の成長にとって非常に重要だと考えています。

演奏後の振り返りの時間

私たちのレッスンでは、生徒が曲を弾き終えた後、すぐに私からフィードバックを与えることはありません。

まず、生徒自身に「どうだった?」と問いかけます。

ここで大切なのは、演奏を終えた後に自分自身で振り返りをする習慣を身につけることです。

多くの生徒は最初、この問いに戸惑います。

なぜなら、これまで「先生に言われたことを守ってする」という受動的な指導を多くの場面で受けることが多くあったからです。

学校教育でも、先生の指示を守って行動するのが当たり前となっていますよね。

そのような経験が多いと自分で考えて動こうとしなくなり、思考力も育ちません。

しかし、レッスンではこの振り返りの時間を重ねるうちに、自分の演奏について考える力が少しずつ育っていきます。

「ここは上手くできた」「あそこは少し難しかった」という具体的な振り返りができるようになってくるのです。

演奏後の振り返りの時間

生徒が演奏を振り返った後、次に取り組むのは「なぜ良かったのか」「なぜできなかったのか」という部分です。

単に「できた」「できなかった」という結果だけで終わるのではなく、その背後にある原因を考えさせます。

例えば、「右手のフレーズはスムーズに弾けたけれど、左手が遅れてしまった」と感じたとします。

この時、「なぜ左手が遅れたのか」を具体的に考えることで、練習の焦点を自分で見つけられるようになります。

また、できた部分についても同様です。

「なぜこの部分は上手くいったのか」を考えることで、自分の強みや得意なところに気付くことができます。

このプロセスを通じて、生徒は自己評価の力を養い、自分の演奏を客観的に見る力が育まれます。

さらに良くするためにはどうしたら良いか

次に生徒に考えてもらうのは、「さらに良くするためにはどうしたら良いか」という質問です。

この質問を通じて、生徒は自分自身の目標を設定し、次のステップに進むための具体的な方法を考えます。

例えば、「左手が遅れてしまったので、ゆっくりなテンポで左手だけを練習しよう」というように、自分で課題に対して解決策を見つけることができるようになります。

このプロセスは、単にピアノの技術を向上させるだけではありません。

自分の演奏に対して自ら改善策を見つけることで、問題解決能力や創造的な思考力が育まれます。

これらのスキルは、音楽の領域を超えて、日常生活や学業にも役立つものです。

生徒自身が練習内容や目標を決める

井上音楽教室では、生徒自身が自分の練習内容や目標を決めるようにしています。

もちろん、私からのアドバイスやサポートは行いますが、最終的な決定権は生徒にあります。

これにより、生徒は自分のペースで学び、自分の進歩に責任を持つことができるようになります。

自分で決めた目標や練習方法で取り組むことで、モチベーションも高まりやすくなります。

自分が納得して進んでいるという実感があるため、結果に対しても満足度が高まります。

このような自主的な学びの姿勢は、音楽だけでなく、生徒の他の活動にも良い影響を与えるでしょう。

自信と表現力の成長

このような「考えさせる指導」を続けていくことで、最初は自分の意見を持つことが難しかった生徒でも、次第に自分の考えを言葉で表現できるようになっていきます。

また、自分自身の演奏に自信を持つことができるようになり、その結果として音楽を楽しむ心がさらに深まります。

最初のうちは何も考えずにただ演奏していた生徒が、

数ヶ月後には「ここはこういう風に弾いた方がいいと思う」

「もっとこうしたら良くなる」というように、具体的な意見を持てるようになります。

この成長を見ることが、指導者としての私にとっても大きな喜びです。

まとめ

井上音楽教室では、ただ技術を教えるだけでなく、生徒が自分自身で考える力を育てることを大切にしています。

演奏後の振り返り、自己評価、課題解決のプロセスを通じて、生徒は音楽だけでなく、人生全般に役立つスキルを身につけていきます。

このアプローチにより、音楽教育が生徒一人ひとりの成長にどのように寄与できるかを実感しています。

音楽を通じて、考える力や自己表現力を高め、より豊かな人生を送るためのサポートを続けていきたいと思っています。

当教室でお子さまの未来を応援します

教室選びは、お子さまの可能性を広げる第一歩です。体験レッスンを通じて、ぜひ教室の雰囲気や指導のスタイルを体感してくださいね。

参加してくれる全ての小学生が親しみをもって接してくれています。

体験レッスンや詳しいお問い合わせは、こちらのページからどうぞ。お待ちしております!

講師プロフィール

井上敬史 (けいてぃ先生)
音楽教育者 / コーチング専門講師 / 井上音楽教室主宰

経歴
[静岡県出身・玉川大学芸術学部卒業]
幼少期より音楽に親しみ、学生時代にはピアノを専攻し、幅広い音楽知識と演奏技術を習得。その後、教育の現場に携わり、11年にわたり子どもから大人まで幅広い層を対象とした音楽指導を行う。

また、音楽教育にコーチングの手法を取り入れることにより、「自ら考え、表現する力」を育む教育法を確立。これにより、生徒一人ひとりが個性を生かしながら成長できる環境を提供している。

現在は、静岡市を拠点にした音楽教室「井上音楽教室」を運営。グループレッスンや個人指導を通じ、音楽を学びながら非認知能力(自己表現力、コミュニケーション力、思考力)の向上を目指したプログラムを提供している。

実績・取り組み
令和5年度 教育研究奨励賞受賞(ICT教育)
平成29・30年度 SBSテレビで音楽授業が放送され好評を得る
毎年、卒業ソングや在校生からの贈る曲を作曲
静岡市立小中学校の開校に伴い、校歌を作曲
リコーダー全国大会に中学2年生を3度出場させ、リコーダー指導者賞を受賞
某企業の社歌作曲を担当

  • 地域でのワークショップや音楽イベントの企画・開催
  • 音楽教育に関する本、コラム執筆や講演会SNSを活用した情報発信

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